本を片手に考えた、あんなことやこんなこと

本を読むことが大好きな30代女子(一児の母)の日記です。

きっと心が軽くなる

さっき半分くらいまで書いていたのに、操作ミスにより消えたああああーー

 

熱量減少気味ですが、改めて書きたいと思います。

久しぶりの投稿です。すいません。

 

 

山口慎太郎さんの『「家族の幸せ」の経済学』を読みました。

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334044220

 

結婚、出産、育休、父親の育児参加、保育園、離婚など、家族にまつわる定説(?)を統計データやシミュレーション、実証研究などから検証した本です。

 

 

例えば、「母乳育児は子どもの知能の発達にいいの?」とか「3年間親元で子育てした方がいいの?」とかよく言われる話をデータで検証しています。

 

 

この本を手にとったのは、知人が某新聞の書評を紹介してくれたからだったと思いますが、当時(読んだのは半年くらい前)子育て真っ最中だった私にとってはとても興味がある内容でした。

というのも、母乳よりミルク中心で育てていましたし、息子を6ヶ月で保育園に入れることになっていたので、自分で決めたものの大丈夫かなという思いが常に頭をよぎっていたのです。

 

結果的にこの本はその心配を払拭してくれることになったわけですが、他にも興味深い内容がいくつかあったので、引用したいと思います。

 

(育休3年制の導入で女性の行動がどう変わるかをシミュレーションした研究を説明している段落から)

ある年に主婦であった人が、翌年、非正規の仕事に就く確率は10パーセントほどですが、これが正社員となると わずか1パーセントにとどまります。本人のスキルや雇用形態の志望といった要素を考慮しても、正社員として就業するのはかなり難しいという結論は変わりませんでした。(第3章 育休の経済学 p.132)

 ⇨これは詳しくデータを見たい結果ですが(前提がよく分からないので)、正社員と非正規の壁の厚さを物語っている結果のように見受けらるの。こうしたデータが世に出ていくことで、正規と非正規の壁や女性の収入の少なさの構造的要因についてスポットが当たってもっと社会で議論されて欲しい。

 

 (ノルウェーの1993年の育児休業制度改革前後で父親の育休取得率がどのように変化したかの研究結果から)

 1993年の育休改革直後に育休を取ったのは一部の勇気あるお父さんたちでした。こうした勇気あるお父さんが、同僚あるいは兄弟にいた場合、育休取得率が11〜15パーセントも上昇したそうです。一方で、義理の兄弟や近所の人が育休を取った場合には、育休取得に影響を与えませんでした。自分が育休を取るかどうかは、近しい人からは影響を受けるけど、あまり関係の強くない他人からは影響を受けないようです。

 さらに興味深いことに、会社の上司が育休を取ったときの部下に与える影響は、同僚同士の影響よりも2.5倍も強いことがわかりました。(第4章 イクメンの経済学 p.152)

 ⇨今年の初め、環境大臣小泉進次郎さんが育休を取得すると発表して話題になりましたが、その後環境省内での育休取得にどのような変化があったのか、ぜひ山口さんに調査して欲しいところ。

 

とまあこんな感じでメイントピック(育休は伝染するなど)もそうでなかった話題(主婦が一年後に正社員になる比率)も統計データや実証研究、シミュレーションで検証するとなるほどと思える結果が多く、なかなか面白い本でした。

少し残念だったのは、こうした経済学的な見地からの研究結果に対して、山口さんの提言が、例えば「子育ての給付金を充実させるよりも保育施設を充実させるべき」など、これまでも散々各方面で言われている提言に収まっているのが多かった点。経済学的に合理的な説明がつくのに、なぜ政府は、自治体は、合理的な政策を実現させないのか、という点に切り込んで欲しかった(無茶振り?)。経済学者のみなさんには、もっと頑張って政策に食い込んで行って欲しいです。

山口さんの今後のご活躍に期待。

 

 

最後に。

母乳育児や保育園入園など、自分がした選択が果たして子供に取っていいことだったのかどうか悩む親は少なくないと思うけれど、この本を読めば自分のその悩みや不安から少し解放されて、きっと心が軽くなると思います。ポジティブに子育てできるようになるのではないかな。

 

 

そういう意味で、初めて親になる人にはぜひ読んで欲しい1冊でした。